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2021.09.29

Takamura Coffee Roasters 岩崎裕也さん インタビュー

Takamura Coffee Roasters 岩崎裕也さん インタビュー

大阪のタカムラコーヒーロースターズで焙煎士として活躍する岩崎裕也さん。コーヒー業界は6年目ながらも国内の数々の競技会で好成績を残し、その名前は全国区となっている。これまでファウンテンコーヒーメーカーにぴったりのコーヒーとして、3名の焙煎家から深煎りのコーヒーを選んでもらったが、今回はあえて浅煎りという新しいカテゴリーからの提案。岩崎さんが選んだ浅煎りコーヒーの魅力と、ファウンテンコーヒーメーカーに合う淹れ方を教えてもらった。

オフィスでもお店でもコーヒーメーカーは大活躍
「飲みたい時にすぐ飲める」そのスピード感が重要

「タカムラコーヒーではコーヒーメーカーをよく使います。オフィスではスタッフのために家庭用のコーヒーメーカーがフル稼働。カフェでは「Today’s Coffee」のために1回に4リットル抽出できる業務用のコーヒーメーカーを利用し、自動でコーヒーを抽出しています。1日500杯のコーヒーの注文が入りますから、手で淹れていては間に合わない。お客様が飲みたい時に10秒でお出しできる、そのスピード感が大事です。 ハンドドリップのように丁寧に淹れることも、おいしさに関わる要素ではあると思います。特に日本では「ジャパン ハンドドリップ チャンピオンシップ」という大会があって、手で淹れる特別感にこだわる傾向にあります。でも、世界に目を向けて見ると、これって日本独特の文化なんですね。例えば、カフェ文化で世界をリードするオーストラリアのメルボルン。この街で最も素晴らしいハンドドリップコーヒーを提供する有名店であっても、お店でハンドドリップを注文する人は、全体のたった5%だと聞きます。マシーンでのブリューが圧倒的に支持されている理由は、再現性が高く、いつだっておいしいコーヒーを淹れられることをみんなが知っているから。これは家庭でも同じことです。正しく作られたレシピがあれば、誰でも簡単においしいコーヒーが淹れられる。家庭用のコーヒーメーカーがもっと広まるといいですよね。

温度は90度、一本勝負!
高温で弾けるコーヒーの香りと風味

このコーヒーメーカーを見た時に、ピンと「可能性がある」と思いました。温度と時間の組み合わせが自由自在で、正確にコントロールできる。「ファウンテン」という初めて見るブリューイングの方法でしたが、実際に淹れてみたら香りがパッと広がり、風味豊かな味に仕上がりました。実力は十分です。しかも水やコーヒーの量もメモリがついているのでスケールでコーヒーの量を測ったり、温度や重さを測ったりする必要がない。超簡単にコーヒーを飲みたい人には面倒くさい作業をパスできて使い勝手が良いのではないでしょうか?

ファウンテンコーヒーメーカーを実験的に使う中で、ホットコーヒーの色々なパターンを楽しんでみました。その中で自分はあえて「温度は90度」一本勝負。この高温レシピを提案します。

僕のロースターとしてのプライドかもしれないのですが、焙煎加工が適切に処理されているコーヒーの焼き豆というのは、高温でこそ威力が発揮されるんじゃないかと思って。コーヒー豆の品質をチェックする時、「カッピング」というのを行うのですが、その時にも93度の高温のお湯を入れて味や風味を確かめるのが全世界で共通しているルールです。自分が焙煎するコーヒーは低温ではなく、できる限り高温のお湯で淹れることでコーヒー豆がもつ滋味と、焙煎による香りと風味が爆発する、そんなイメージを持っています。

GOLPIE COFFEE 河合さんインタビュー

長年探し求めてきた
常識を覆すインドネシアのコーヒー

ファウンテンコーヒーメーカーに今回提案するのは、4年間探し求めてきたとっておきのインドネシアのコーヒーです。荒々しくワイルドな質感、エスニックでアーシーな感じ、素晴らしいテロワールが生きています。一般的なインドネシアのコーヒーとは大分方向性が違うので、商品説明には「インドネシアの窮屈な常識はいらない」というちょっと攻撃的なタイトルをつけました。ファウンテンコーヒーメーカーも一般的なコーヒーメーカーとは違ってとてもユニークなので、このコーヒーがぴったりと合うのでは? と思います。
インドネシアの独特のフレーバーを残しつつも、まろやかな甘さ強調するために浅煎りのレンジよりも少し深めに焼きました。温度設定を90度にすると、梅酒のような甘いフレーバーとどことなく土のミネラルを感じるような風味が炸裂します。

ここで重要なのは、コーヒーの挽き目です。中細挽きにしてください。こうすることで「とろんとした甘さ」とインドネシアのテロワールやキャラクターが全面に出てきます。細く挽きすぎるとコーヒーの成分が出過ぎてしまうので要注意です。

GOLPIE COFFEE 河合さんインタビュー

自分らしいコーヒーとは何なのか?
最高においしいコーヒーのために心がけていること

コーヒーを飲んだ人に「あれ、このコーヒーは誰が焼いているんだろう?」と思ってもらえるような焙煎を目指しています。最後の最後に、自分らしいコーヒーの余韻を残したいんです。 コーヒーは農産物なので、まず生産者が品質を決めてしまいます。その点ではワインとの類似性を指摘されますが、コーヒーとワインが徹底的に違うのは「焙煎士が焙煎によって品質を表現できる」という点。深煎りにしたり浅煎りにしたり、そういったプロセスを経てコーヒーのもつおいしさをひっぱり出すことができます。 自分は最終的に「最高においしいコーヒーを作るために何をすればよいか」ということに焦点を当てています。思いっきり手をかけたほうがよければ手をかければいいし、手を抜いたほうがいいんだったら思い切って手を抜いてしまう-----「こうあるべき」とか「こうでなきゃいけない」というような従来の型に囚われたくないんです。自由な発想のもと誰もやっていないことに挑戦しながら、最高においしいコーヒーを世に送り出していく。これが自分のスタイルです。

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